表皮の内側にある層が「真皮」。表皮と真皮は基底膜というごく薄い膜によってしっかりとつなぎ合わされています。そして真皮を形作っているのがコラーゲン線維(膠原線維)とエラスチン線維(弾力線維)。ロープ状のコラーゲンがネット構造を作り、それを弾力性に優れたエラスチンがサポートして表皮を下から支えています。
表皮の10~15倍もの厚さがあり、皮膚の大部分を占める真皮の特徴は何と言っても「水分」。真皮の重さの60~80%は水で、お肌のみずみずしさの源でもあります。そしてその水分を抱えているのが、ヒアルロン酸などのグリコサミノグリカン(酸性ムコ多糖類)からなる基質。水分たっぷりのゼリー状で、コラーゲン線維とエラスチン線維のネット構造のすき間を満たしながら、お肌にうるおいと柔軟性をもたらしています。
さて、お肌のハリや弾力、うるおいの元であるコラーゲン、エラスチン、基質を生み出しているのは「線維芽細胞」です。真皮には、ヒスタミンを分泌してアレルギー反応(花粉症やじんま疹など)を引き起こす肥満細胞や、異物に対処するマクロファージなどがありますが、美肌作りに一番大きく係わっているのはこの線維芽細胞です。
基質の中に点々と浮かぶ線維芽細胞、実はとっても働き者。コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの基質を作るだけでなく、古くなったコラーゲンやエラスチンの分解処理までこなします。線維芽細胞が真皮を常にリフレッシュしてくれるおかげで、お肌はキレイを保っていられるのです。
しかし、紫外線や老化の影響で線維芽細胞が弱ってくると、新しいものを手際よく作ることができなくなります。すると生産量が分解量に追いつかなくなり、真皮全体のコラーゲンやエラスチンの量が減少。ヒアルロン酸などの基質を作る力も低下するのでお肌のうるおいも減ってきます。その上、古くなったものを分解する速度も年齢と共に遅くなって、古い組織がいつまでも真皮に残ってしまう...そうなると表皮を支える力も弱くなり、肌の弾力やハリが失われて法令線のような深いシワやたるみができてしまいます。
ということは、線維芽細胞の老化をできるだけ遅らせ、その力を十分に発揮させることが若々しい素肌を保つ秘訣であると言えそうです。では、そのために何かできることはあるのでしょうか?
(2008年5月初出)