表皮

皮膚の一番外側、厚さ0.2ミリほどのエリアが「表皮」です。あの人の肌、キメが細かくてきれい!というときの「キメ」とは、この表皮の表面にあるくぼみ(皮溝)と盛り上がり(皮丘)でできた凹凸のことを指します。肌のキメが細かいというのは、この皮溝の幅が狭く皮丘が平らで揃っている状態で、肌のキメが粗いとは皮溝の幅が広く深く、皮丘が目立ったり高低に差があったりして全体的に不揃いな感じを与える肌の状態を指します。

キメは人によって生まれつき違いがあり、一般的に男性より女性のほうがキメが細かく、男女ともに高齢になるほど粗くなります。しかし温度、湿度、紫外線などの外的要因によってもキメの状態は変わるので、例えば紫外線を防いだり、保湿に気を付けるなどすれば、多少キメを細かくすることが可能です。

それでは、具体的に表皮のしくみについて見ていきましょう。

程よいペースのターンオーバーが
強く美しい肌へと導きます

表皮は内側から基底層、有棘層(ゆうきょくそう)、顆粒層(かりゅうそう)、透明層(手のひら・足裏など皮膚の厚い箇所にのみ存在する)、角質層に分けられます。基底層で作られた細胞は、分裂して順次上に移動しながら基底細胞→有棘細胞→顆粒細胞→角質細胞と変化していきます(この変化の過程が「角化」)。一番外側の角質細胞は一定期間その場に留まり、表面から順次垢となってはがれ落ちるので、角質層は常に一定の厚さに保たれています。このように、お肌の細胞が毎日少しずつ生まれ変わる動きをターンオーバーと言います。

ターンオーバーのサイクルは通常約6週間(注1)ですが、この周期が乱れると肌はどうなってしまうのでしょうか。

表皮図解

例えば、日焼けや過剰な角質ピーリングなどで皮膚に炎症を起こすとターンオーバーのサイクルが普通よりも短くなります。すると未熟な細胞が成長しきらないうちにバリア役である表面の角質がはがれ落ちてしまい、まだ充分な防御力を持たない細胞が外界にさらされることになります。当然、そのような細胞は刺激をしっかりと防ぐことができないので、肌荒れや乾燥、バリア力の低下が起こり、そしてその肌荒れや乾燥が更にターンオーバーサイクルを加速させるという悪循環に陥ってしまいます。

一方、お肌の老化によってターンオーバーのサイクルが長くなると、本当ならすでに垢となって去ってゆくべき角質がなかなか皮膚表面からはがれ落ちません。そうして古い細胞が溜まり続けると、角質層は次第にぶ厚く固くなってゆき、肌は透明感を失ってくすんでしまうというわけです。

このように、ターンオーバーは早すぎても遅すぎても良いことはありません。丁度良い速度でバランスよく行われることで、初めて美しさと強さを兼ね備えた肌が保たれるのです。

注1 以前は4週間とされていたが、最近の皮膚科学の知見で訂正された

角層(角質層)【かくしつそう】

皮膚の一番外側にあって、外からの物理的化学的な影響(細菌や紫外線、化学物質など)からバリアのように体を守っている。成分の80~90%はタンパク質のケラチン。健康な状態では10~20%の水分を含む。核のない平べったい死んだ細胞(角質細胞)がレンガ壁のように積み重なり、細胞同士のすき間を脂質(細胞間脂質)が埋めている。角質細胞の中には天然保湿成分のNMFがあり、角層の水分を保つのに大きなはたらきをしている。

顆粒層【かりゅうそう】

核を持ち、菱形や平べったい形の細胞が1~4層をなしている(顆粒細胞)。細胞内には、角化過程において顆粒層で作られるタンパク質「ケラトヒアリン」というガラス質状の顆粒(ごくごく小さなつぶつぶ)がある。

有棘層【ゆうきょくそう】

核を持つ多角形・大型の細胞が10層ほど重なっている、表皮の中でもっとも厚い層。体内に侵入した異物を見つけだすセンサーの役割をしているランゲルハンス細胞と呼ばれる樹枝状の細胞も存在。

基底層【きていそう】

表皮の一番底の真皮に接している層で、核のある円柱形の基底細胞が横一列に並んでいる。真皮の毛細血管から栄養をうけとり、その力で細胞分裂をして表皮を作る。分裂した基底細胞のうちの一つは基底層に残り次の分裂に備える。もう一つは上部の有棘細胞に変化(更に、顆粒細胞、角質細胞に変化していく)。基底細胞の間にはメラノサイトが点在、この細胞内でメラニン色素が生産される。

(2008年2月初出)

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