20代半ばOL。乾燥肌。冷え症なのが悩み。
40代後半主婦。テニスが趣味。肌のくすみが気になる。
30代前半フリーランス。しみ、大人ニキビが悩み。
N美
化粧品には劇的な効果は期待できない。でも化粧品に使える成分でも効果の見込めるものがある。その見極めが難しいわね。
Y菜
たとえば、キダチアロエって消炎効果があるから... それが買いたい化粧品の全成分に入っていたらある程度の消炎効果は期待できる。そうやって自分で考えるしかないのかなあ。
おそら
そうですね、化粧品に関しては今のところそれしかない... というか、結局それが一番確かな方法だと思いますよ。
N美
大分前に「シミを消す」って堂々と宣伝してるクリーム貰ったことがあるの。誇大広告で薬事法違反よね。お値段は高かったらしいけど、効果は全然。価格と品質は必ずしも一致しないわね~。
編集者
そもそも誇大広告をするようなメーカー製品は品質もそれなり...と思ってしまいますね。ところでネットサイトに全成分を載せないのは薬事法違反ではないのですか? 最近そういう販売ページをよく見るもので。
おそら
ああ、それは違反じゃないです。2001年の薬事法改正で義務化されたのは「商品本体」か「パッケージ」に全成分を記載する、なので...。個人的には、ネットサイトに記載がないのは不親切きわまると思ってるんですけど。
N美
購入前にチェックできないんじゃ、全成分表示の意味ないじゃないねぇ。
Y菜
ですよねー。だから私はネットだったら全成分しっかり書いてあるところでしか買わないです。合わない成分を確実に避けられるから。
編集者
メーカーによっては成分辞典を公開しているところもありますね。その成分が実現できる効果が書かれていることもあります。(編注:2011年4月現在、公開されている成分事典の例をCheck Pointにまとめました)
N美
そういう感心なメーカーもあるのね。成分辞典と全成分を突き合わせると、その化粧品にどんな効果が期待できるか見当つけやすそう。
Y菜
ただ、全成分を書いてるネットショップって、まだまだ少ないんですよね...。
N美
ホントね。全成分表示義務がネットにも早く適用されたらいいのに。ところで、その全成分表示って、書く順番は決まってるの?
おそら
「化粧品」なら配合量が多い順に書いてありますよ。配合量が1%以下になるとどの順番でもいいですけど。
Y菜
じゃあ、美白が目的なら「ビタミンC誘導体」なんかが最初のほうに書いてあるコスメがいいんだ。
編集者
薬用化粧品(医薬部外品)だと「有効成分」と「その他の成分」に分かれていて、「全成分」という表示ではないですね。
おそら
そう、医薬部外品だとそういう書き方になります。表示の順番は、有効成分なら承認を受けたときの書類に書いた順。でも、有効成分は多くても3つくらいなので、順番はあまり気にしなくても。その他の成分はメーカーの書きたい順となります。
N美
ビタミンC誘導体が有効成分として入っていたら美白効果に期待大。その他の成分だったら、効果があるだけの量が入っているかは分からないのね。
Y菜
全成分といえば、おそらさんのブログ。「水」だけが全成分のアヤシイ化粧品の話、面白かったです~。(編注:ブログの詳細はCheck Pointの参考サイトを参照)
編集者
私も拝読しました。その化粧品、pHが12くらいある強アルカリで「余計な添加物も界面活性剤も入ってないから安全、なのにこんなにお肌の汚れが落ちる!」などと宣伝してます。
おそら
そうなんです。でも、その中身は水酸化カルシウム(消石灰)、酸化カルシウム(生石灰)、炭酸カルシウム(石灰石)などが溶けただけの水とほぼ同じもの。いわゆるアルカリイオン水と同じようなものなんですが... これ、原価はゼロに近いんですよ。それを数千円の商品に仕立ててるんですねー。
N美
そんなの、ぼったくりじゃない。 洗濯用の炭酸ソーダを水に溶かしたら10円以下で同じようなものができるわ。いや、だからってそんなもので洗顔はしないけど。
Y菜
アルカリの強い化粧水なら昔からあるんですよね。「ベルツ水」とか、pH約13の「かりんの化粧水」とか。肘やかかととか、角質が分厚く固まっちゃったところをアルカリで軟らかくできるんですよ。
おそら
ええ、そういう使い方なら大丈夫ですよ。でもpH12の液体を洗顔料にするなんて論外です。目に入ったら、最悪の場合失明するのに。
Y菜
えっっ失明...!? やだぁ、そんなもので顔洗うなんて怖すぎ~~!!
N美
やっぱり知識は必要ね~。成分について知ってたら「これ危険、それに高すぎ」とすぐに気づけるもの。私ももっといろいろ覚えよう。
編集者
各成分の働きについては、これからの連載で少しずつ取り上げていく予定です。どうぞお楽しみに。
Y菜
そうなんですね。楽しみ! そうやって勉強していけば合わないコスメで肌を荒すことも少なくなるし、すごく元気になれそう。女子にとってキレイは元気の源ですから!
おそら
それを裏付けるデータも徐々に出てきていますよ。ある実験でメイク前後の唾液中の免疫グロブリン(s-IgA)濃度を測ったんですね。そしたら、メイク後の方が明らかに高い。メイクによってストレスの緩和力、つまり免疫力が上がったと考えられますね。
編集者
それは素晴らしい。その「効果」を常に実感するためには、なにに気をつければ良いんでしょう?
おそら
そうですねぇ... やはり使う人自身が「気持ちいい」と思えるものを選ぶことでしょうか。自分に合う成分かどうかちゃんとチェックした上でね。
N美
このあいだ出先で間に合わせに買ったハンドクリーム、使ったら湿疹が出ちゃって。ちゃんとしたメーカーの医薬部外品だったけど、なにかが合わなかったのね。「ヨイ成分」入りでも肌に合わないとしょうがないわ。
編集者
ハンドクリームやボディクリームなどは医薬部外品、医薬品、化粧品と全種類ありますね。どこを見ればさっと区別できるのでしょうか。
おそら
医薬品や医薬部外品なら、ラベルのどこかに必ずそう書かれてますよ。その類の表記がどこにもなければ「化粧品」ですね。
Y菜
ハンドクリームで医薬品や医薬部外品を選ぶべきなのは、どういうときですか?
おそら
そうですね。たとえば手のヒビが切れる、しもやけができる、そんなときは医薬品か医薬部外品ですね。治療が必要なお肌のケアは、化粧品には荷が重いです。
Y菜
あ、なるほど。化粧品は「健康な肌に」使うためのものですもんね。
おそら
その通りです。本当はトラブルが出たら皮膚科受診が一番なんですが。それができないときは薬局の薬剤師さんに治療効果のあるアイテムを選んでもらうほうが早く治りますよ。
編集者
実は最近、化粧品ではない「雑貨」扱いの化粧水を使っているのですが、これが結構いいんですよ。でも、なぜ「雑貨」なんでしょうか。
おそら
役所(薬務課など)に化粧品として届け出をしていないんですね。化粧品として未認可だから、雑貨ということです。
N美
個人が作るキッチンコスメとかと同じ扱いなのね。そういうのを売買したり使ったりしていいの?
おそら
「化粧品ではないもの」として売買する分には問題ないとされてます。使うのもね。ただ、その結果お肌が荒れても「自己責任」になります。薬事法の許可を得た製造元で作り、許可を得た製造販売元から発売されるのが化粧品。そうでないものを勝手に化粧品として使ってもメーカーは責任持ちませんよ、と。
Y菜
化粧品として使える品質だったら、どうして届け出ないのかな。認可取ったほうが高く売れそうなのに。
おそら
うーん、会社によって事情はいろいろですが... やっぱりコストの問題じゃないですか。
N美
認可料がすごく高いの?
編集者
いえ、確か... 人件費でしたっけ? 厚生労働省の許可を受けるためには薬剤師や化学に関する専門の課程を修了した人を社内に配置しなければいけないそうです。医薬部外品を取り扱うとなるとさらに人材の幅が狭くなるのでお給料も上がるとか。
おそら
そうなんですよ。あと、化粧品を実際に製造する「化粧品製造業」の認可を受けたければ、薬剤師などを配置した上で、許可基準に合った製造設備を整える必要もあります。それにかかるコストが結構大きいんですね。(編注:詳細はCheckPointの参考サイト「総括製造販売責任者・責任技術者」を参照)
N美
なるほどねぇ...。そういえば、このあいだ髪を染めたヘナも化粧品とは書いてなかったわ。聞き慣れないメーカーだったし、雑貨だったのかも。
おそら
そうかもしれないですね。ヘナも化粧品の認可を受けていたら「染毛料」や「毛髪着色料」、医薬部外品なら「染毛剤」と表示がありますから。
編集者
認可を受けた化粧品でも、本来の適用部位や使いかたから外れていたら「なにかあっても自己責任」なんだそうです。
N美
それって、チークをアイシャドウにしたりマスカラを眉毛に使ったりとか? じゃあ私、自己責任だらけだわ(笑)
Y菜
私は敏感肌だからあんまりそういう冒険できないんですよね。その代わり、手作りはします。手作りコスメ、いいですよ~。自分専用に成分を吟味してできあがったコスメでお手入れすると、ホントに「幸せ~」ってなります。
編集者
そんなコスメなら極上のセラピー効果が得られそうですね。手作りするときに注意した方がよいことってなんでしょうか。(編注:コスメのセラピー効果について詳しくは、ストレスとお肌の関係、もっと詳しく知りたい! 参照)
おそら
そうですね、一番はやはり雑菌対策ですね。腐敗が怖いので。あと、成分についてよく知ること。たとえば、天然・シンプルな成分だからお肌にやさしいなんて思い込みは持たないとかね。
Y菜
それは身に沁みてます~。一時、シンプルなクエン酸リンスが全然合わなくなったことがありますから。それで、いろんなレアなお酢も含め試しまくって...結局、ハチミツ入りのレモン汁という身近すぎるアイテムに落ちつきました。
おそら
さすがY菜さん、研究熱心ですね~。でも、自分を実験台にするのは程々にしてくださいね(苦笑) 肌に合わない成分を使い続けると、ストレスで身体を壊すこともありますよ。そうなったら、セラピー効果どころじゃなくなります。
編集者
市販のメイク用品によるセラピー効果を医療の現場で役立てる試みもありますね。たとえば事故で顔や身体の目立つところにできてしまった傷。それをメイクで上手にカバーできれば社会復帰にはずみがつくことも多いそうです。
おそら
ああ、最近よく聞きますね。傷跡を治す手術もあるんですが、手術だとやはり痛みがあるし入院も必要。それに、多少の傷はどうしても残ってしまう。メイクで傷は治せないんですが、目立たなくすることはできるので... 患者さんの心身への負担はかなり減ると思いますよ。
N美
そうねぇ。傷がちゃんと治ってからなら化粧品OKなわけだし、もしも失敗メイクになっても洗い流せば元通り。手術に比べるとコストも安いし... 確かに、デメリット少なそうよね。
Y菜
でも、傷ついて弱ったお肌にお化粧して大丈夫なんですか?
おそら
その心配はありますね。だから、アイテム選びには十二分に気をつけるべきでしょう。旧表示指定成分やタール色素などはもちろん、天然成分でも刺激が出やすいものはありますし。
N美
天然成分、意外に油断ならないわよ。コチなんとかいう天然色素で唇が荒れた友達がいるもの。
Y菜
あ、コチニールですね? サボテンに寄生するエンジ虫から取る赤色。自然派化粧品によく配合されますけど、刺激を感じる人もいるってコスメ本に書いてありました。
編集者
あと、光感作などの問題もありますね。病院内で平気だったのに、外に出て紫外線に当たったらかゆくなったとか。
おそら
そうですね。だから「合わなかったらすぐに止める」が大前提です。ただ、それでもなお、化粧品によるダメージは手術失敗のダメージよりはるかに小さいことがほとんどなので、試してみても損はないと思います。編集者さんも、このあいだそれを実感したんじゃないですか?
編集者
はい、メイクひとつであれだけ変わるとは、大変貴重な経験でした。本当にありが... あ... この話はヒミツ... じゃなくて、あの!(汗)
N美
あら、なんだかアヤシイわね。どうしたの?
Y菜
もしかして、先週の日曜? ホテルのロビーで会ったとき? すごく気合い入れたオシャレして、メイクも決まってましたよねー。何があったんですか?
編集者
えー ...実はですね、妹の夫の友人男性を紹介されまして。ですが、会う日が近づくにつれて頬のシミがどうにも気になりだし... 悩んでいるうちに体調までおかしくなってきまして。とうとうおそらさんにSOSを。
おそら
新しい化粧品の試作品ができたところに連絡いただいたんですよ。モニターを探さなければいけなかったので、私にとっても丁度よかったです。
編集者
いや、化粧品の力はホント凄いです。シミが目立たなくなっただけで、それまでの心身のモヤモヤがスッキリ解消。きっと、唾液中の免疫グロブリン濃度もかなり上がってましたよ。お陰さまで、本当にいい一日になりました...。
N美
なるほど、そういうことだったの。これは続きをじっくり聞かせて貰わないといけないわ~。
Y菜
そうそう、ゆっくり話せるいいお店が近くにありますよ。じゃあ編集者さん、行きましょう!
編集者
あ、そんな... おそらさん、助けてください!
おそら
いえ、私も試作品についていろいろご意見を伺いたかったところです。読者の皆さまには私からご挨拶しておきますね。それでは皆さま、今日はこの辺で。ごきげんよう!
(2011年4月初出)
おそらさんのブログ 「無添加化粧品 Global Beauty User's Lounge」
→怪しげな化粧品の「水」商法
化粧品製造業の認可に関する法律について
東京都福祉保険局「総括製造販売責任者・責任技術者」