ステロール類・脂肪酸エステル類

細胞間脂質に含まれるステロール
お肌のうるおいアップに貢献します

ステロールは、別名ステリンまたはステロイドアルコールともいいます。角層細胞間脂質として皮膚の中に単独で(遊離)または酸と結びついたエステルの状態で存在している親油性の物質で、お肌のうるおい保持に大きく役立っています。また、細胞機能を調節したり代謝に係わる情報を伝えたりする役目も担っています。

動物性と植物性の2種類があり、そのうち動物性のものは動物ステロール(zoo sterol)と呼ばれます。動物ステロールの代表はコレステロール。血液の健康やダイエットなどの話題でおなじみですね。

化粧品に配合されるコレステロールは、ラノリンから採取されたものがほとんど。クリームや乳液、ヘアケア製品などの乳化助剤としてよく使われます。また、人の胆石から発見されたジヒドロコレステロールは歯周病予防に効果があり、薬用ハミガキに配合されています。

一方、植物の体にあるステロールは植物ステロール(phytosterol)と呼ばれます。phytoというのはギリシャ語で「植物」のこと。代表的なものにシトステロールがあります。化粧品原料としての植物ステロールは、麦芽油、大豆油、トウモロコシ油、綿実油などから取れます。化学構造やはたらきがコレステロールに似ているので、コレステロールの代用品として用いられます。

化粧品に使われる代表的なステロールには、以下のようなものがあります。

●植物性
フィトステロール

●動物性
コレステロール、ジヒドロコレステロール

●ステロールの配合目的と効果効能

  1. 乳化助剤になる(これ単独ではそれほど強い乳化力はない)
  2. 細胞間脂質のはたらきを補い、皮膚の水分量を保つ
  3. 皮膚に柔らかさと弾力性を与える

実は「油脂」もこの仲間
脂肪酸エステル

脂肪酸エステルというのは脂肪酸アルコールが結合してそこから水が取れてできる物質のことです。と、いきなりいわれても何のことやらよく分からないかもしれません。でも、私たちはほぼ毎日、脂肪酸エステルのお世話になっているんですよ。なぜかといえば、オリーブ油や牛脂といった「油脂」の主成分が脂肪酸エステルだから。油脂の主成分トリグリセリドは、多価アルコールの一種グリセリンに高級脂肪酸が3個結合したエステルなんです。この「高級脂肪酸+多価アルコール」の脂肪酸は化粧品原料としてもっとも多く使われるもののひとつでもあります。

もちろん、脂肪酸エステルは油脂だけではなくさまざまな種類があります。構造や分子量などによって性質やはたらきが大きく違うので、その使い道も多岐にわたっています。保湿剤や溶剤として化粧品や外用医薬品に配合されることが多いのですが、多価アルコールと脂肪酸が結合したものは界面活性剤として利用されるものもあります。

化粧品に使われる代表的な脂肪酸エステルには、以下のようなものがあります。表記は化粧品の表示名称で統一しています。カッコ内はその成分の「元の」または「一般的な」名称です。

エステル結合するイメージ

●高級脂肪酸+低級アルコールのエステル
リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル

●高級脂肪酸+高級アルコールのエステル
ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル(ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル)、エチルヘキサン酸セチル(イソオクタン酸セチル)、パルミチン酸セチル

●高級脂肪酸と多価アルコールのエステル
トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン(トリイソステアリン酸グリセリン)、トリオクタノイン(トリオクタン酸グリセリン)

●その他
乳酸セチル、乳酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル

●脂肪酸エステルの配合目的と効果効能

  1. 油溶性の原料が油相にうまく溶け込めるよう作用したり、油溶性原料同士をなじみやすくしたりする
  2. 肌の上でなめらかによく伸びるよう製品の使い心地を向上させる
  3. 色素などの特殊成分を溶かし込む
  4. 香料の香りを長く保つ
  5. 肌や毛髪に柔らかさやなめらかさ、うるおいを与える
  6. 油性の化粧品に通気性を与え、肌に塗ったときの感触をよくする

(2011年12月初出)

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