おしえて!おそらさん

髪におすすめのシャンプーとリンスは?

とにかく泡をたっぷり立てて、リンスは素早く流すこと

化粧品研究者 おそらさん

現職の、某化粧品メーカー研究員。豊富な知識と明快な語り口で石けん楽会に数々の名発言を残す。趣味は旅行。

Y菜さん

20代半ばOL。乾燥肌。冷え症なのが悩み。

N美さん

40代後半主婦。テニスが趣味。肌のくすみが気になる。

編集者

30代前半フリーランス。しみ、大人ニキビが悩み。

N美

だからそんなに綺麗な色に染まるのね。私の髪は太いから、細いのもうらやましいわ~。

Y菜

でも細い髪って傷みやすいんですよ~(泣)。今はオーガニック系弱酸性シャンプー・リンスでケアしてるんですけど... 他にいいシャンプーとか、知りませんか?

N美

私はクレイを混ぜた自作の石鹸シャンプー。これは本当にすっきりするからオススメよ~。

おそら

私もたまにヘアダイしますけど、石鹸で問題なく洗えてますよ(^^) ただ、Y菜さんの髪は大分傷んでいそうなので、とりあえずは弱酸性シャンプーがベターかもしれません。

Y菜

そうすると、やっぱり基本的にアルカリは髪に良くないんですか?

おそら

と言うより、アルカリは「髪のダメージを進める要因のひとつになり得る」かな。たとえばタンパク質が流出してスカスカな髪にはどんな小さなダメージも避けたいでしょう? その点、弱酸性~中性シャンプーだと、少なくともアルカリによるダメージだけはないわけだから。

編集者

できるだけ刺激を与えず現状維持、その手段としての弱酸性というわけですね。消去法的というか。

おそら

そういうことですね。本当はひどく傷んだら切るのが一番なんだけど、そうあっさり決断できないことも多いですよね。

N美

ダメージヘアには弱酸性って、そういうことなのね。じゃ、ダメージ「予防」のためにも使った方がいいのかしら?

おそら

うーん...ダメージ予防のためには、シャンプーのpHよりも洗い方を気にしてほしいです。

Y菜

洗い方? たとえば、すすぎに気を付けるとか?

おそら

そうそう、すすぎは大事ですね。それともうひとつ大事なのが、「泡」なんです。弱酸性でもアルカリでも、たっぷりモコモコに泡を立てて髪同士がこすれ合わないようにすること。泡さえちゃんと立っていれば摩擦がないので髪も傷みにくいんですよ。

Y菜

こするのはダメって言いますよね~。タオルドライでも、ポンポンと優しく水分を吸い取るようにしますもん。

N美

ただね、基礎知識に出てきた「アルカリで髪がふやける」っていうのは何か気になるわ。それ、防ぐ方法ないかしら?

おそら

あ、それは...そもそも髪は水分を吸ってふやけやすいものなんですよ。そうですね、髪の重さの30~35%くらいは吸ってしまうかなぁ。

編集者

そういえば、湿度計には髪の毛が使われていますね。

おそら

そうなんです。どんなシャンプーでも、ある程度まで髪がふやけるのは仕方がないんですよね...だからここでもまた、摩擦を防ぐための泡が重要になってくるわけですね。(編註:石鹸シャンプーでの詳しい洗い方は「石けんシャンプーのABC別ウィンドウで開きます」参照) 

Y菜

でも、石鹸シャンプーっていくら泡立てても髪のキシキシがすごくて、それで挫折したって話もよく聞くんですけど?

おそら

髪がきしむのは、実はスタイリング剤やホコリ、余計な油分などの汚れがしっかり落ちたからなんですよ。

Y菜

じゃあ、アルカリのせいばかりでもない、ってことですか?

おそら

そういうことです(^^) ただ石鹸シャンプーはpHが高くなるほど洗浄力も増すし、お湯ですすぐとどうしたって金属石鹸別ウィンドウで開きますが髪に付着するから、よりキシキシを感じやすいとは言えますけどね。

N美

ということは、弱酸性のシャンプーがきしみにくいのは金属石鹸が出ないから。それと、pHが低くて洗浄力が弱いので汚れが落ちにくいから、なのね。

おそら

と、思いますよね? ところがそれが大きな誤解。弱酸性の洗浄成分にも汚れを落とす力は十分にありますから、もし洗浄成分だけで作ったら思いっきりきしむんですよ。一般的なシャンプーがあまりきしまないのは、リンス成分を少し配合して髪をコートしてるからなんです。

編集者

何と、それは初耳です。リンス効果が目立たないリンスインシャンプーのようなものですね。

おそら

きしむ=髪が傷む、じゃないし、きちんと泡立てて洗えばそんなもの入れなくても本当は大丈夫なんですよね。まぁそのあたりは「使用感の良さ」を追求するメーカーの姿勢ってことで、あまり使う側は気にしなくてもいいかな。

Y菜

本物のリンスインシャンプー、あれも汚れ落ち悪いですよね~。リンス成分が洗う邪魔になってるからですか?

おそら

ああ、それはリンス成分のせいだけじゃなくて界面活性剤そのものにも原因があります。リンスインシャンプーに使える界面活性剤って種類が限られるんですよ。構造の中に水となじみやすい「親水基」を2つ持っているものしか使えないから。そして、この手の界面活性剤は洗う力が弱いんですよね。

N美

そうなの。じゃあ、正しい方法で洗えていたら、シャンプーのpHは特に気にしなくていいってことね。安心したわ。

編集者

ただ、アルカリは髪の分子結合に影響を与える... シスチン結合はアルカリ性だと切れやすいと基礎知識にもありましたね。

おそら

シスチン結合が常温で切れるのは、強アルカリのpH12くらい。石鹸シャンプーはpH9~10に調整されているものが多いので心配ないですよ。

Y菜

でもね、これは美容師の妹が言ってたんですけど、パーマの第1液のpHは石鹸と同じくらいだ、って。パーマ液と同じって言われると、ちょっと不安になっちゃいます。

おそら

パーマの第1液でシスチン結合を切るのは、アルカリ剤じゃなくて、一緒に配合されている「還元剤」の役目なんですよ。アルカリ剤はキューティクルを開かせて還元剤が髪の内部に入り込みやすくする、サポート役ですね。

N美

このあいだ雑学番組で見たんだけど、昔のパーマって電気で加熱してかけたんだって。ああいうのにも還元剤使ってたの?

おそら

いやー、そのころはまだ還元剤はなかったですね。アルカリ、水分、熱、この3つの力でカールを固定したそうですよ。

Y菜

じゃあ、やっぱりアルカリでシスチン結合を切ってたんですね? そしたら石鹸シャンプー、シャワーの熱いお湯、この2つが揃ったらもしかしたら...

おそら

大丈夫、シスチン結合はそんなゆるい条件では切れませんよ。電気パーマでも、アルカリ剤や水の量、反応時間、そして温度の3つがきれいに揃って、はじめて髪に作用できたんです。だからこれらのバランスが悪いとうまくパーマがかからなかったり、髪が切れちゃったりしたこともあるそうですよ。

N美

よく言われるほどアルカリは髪に影響するわけじゃないのね。となると、石鹸シャンプーのせいで髪や頭皮にトラブルが! って人は一体何が間違ってるのかしらね?

おそら

そうですね... まず、汚れに対して石鹸の量が十分じゃないからちゃんと泡立ってない。すすぎもいい加減で金属石鹸や酸性石鹸がたくさん頭皮や髪に残っている。日常的にヘアアイロンを使ったり、髪を思い切り引っぱりながら高温のドライヤーを当て続けている...なんてケースが考えられますねぇ。

N美

あー石鹸シャンプーにトライして挫折した友達がそれにほぼ当てはまるわ。今度会ったらちゃんと言っとこう。でもねぇ、石鹸シャンプーに変えて何が嬉しかったって、本当に頭皮がすっきりしたこと。以前はヘンにかゆくなることがあったんだけど、それもなくなったし。

Y菜

あっN美さんもそうだったんですか? あのね、実は私も最近シャンプーのあと頭がかゆくなることが多いんですよ。

N美

それ、リンスのせいもあるんじゃない? 私、まずリンスを先にやめたのね。あのヌルヌルがずっと嫌だったから。そしたらそれだけでも大分かゆみが減ったわよ。

Y菜

えっ、リンスだけやめる? そんなこと、考えたことなかった...(汗)

編集者

セット販売されていると、普通は一緒に使うものだと思いますよね。ちなみに、リンスの使い方はどのように?

Y菜

えっと、髪の根元まできちんとケアしたいから、根元までたっぷりと塗りこんで...って、これダメですか?

おそら

頭皮は髪が密集してるし、その根元は毛穴で凹んでいるしで、もともと汚れが溜まりやすいんですね。そんなところに油や乳化剤たっぷりのリンス原液がべったり付いちゃうと、完全にすすぎ流すのは難しいんですよ。そういうのが溜まると、トラブルの元になったりしますね。

Y菜

うーん、言われてみれば、うっかりリンス忘れたときはあんまりかゆくないかも...。そうかぁ、思い込みのせいで体が出してくれてたサインに気付いてなかったんだ。でもリンスを全然やめちゃうと髪がぱさつきそうで心配なんですけど...。

おそら

リンスを本当に「髪にだけ」付けられれば、ちょっとはマシなんですけどねぇ。そもそも一般的なクリーミータイプリンスは髪をコートするためのものであって、頭皮に付けるものではないですし。

N美

頭皮につけずに髪だけって、それすごく難しくない? すすいだら絶対頭皮にも付いちゃうわよ。

おそら

確かに、すすいだときに少しはリンスが頭皮についてしまうけど、それでも頭皮に直にリンスを塗ってすすぐよりは、残留量はずいぶん少ないですよ。

Y菜

実は...。リンスを流すときも、ある程度成分が残った方がイイかなと思ってよくすすいでなかったんです。それも良くなかったのかな...?

おそら

そうですね。リンスはつけてすぐ、そして徹底的に洗い流すほうがいいんですよ。コンディショナー、ヘアパックなどでも同じ。

Y菜

でも、あんまりすすぐとリンス効果が消えちゃいませんか? トリートメントなんかは何分くらいなじませてって書いてあるし。

おそら

リンス成分が髪の表面をなめらかにコートする反応は一瞬で終わっちゃうんですよ。髪や頭皮って、シャンプーしてすすぐとマイナスに帯電するんです。そしてリンス類の成分はプラスだから、その作用で電気的にくっつくんですね。だから、髪にまんべんなくリンスがなじんだらそれで十分だし、お湯ですすいだくらいでコートがはがれるようなこともないんです。

編集者

ははぁ、そのついでに頭皮にもある程度は電気的にくっついて残ってしまうということですね。だから、トラブルが出ているときはできるだけ使わない方が安全である...と。

N美

じゃあ石鹸用の酸性リンスはどうかしら。やっぱりすぐに流した方が...っていうか、そもそもリンスは毎回必要?

おそら

すぐに流していいですよ。アルカリの中和反応も一瞬で済みますから。リンスなしで仕上がりに問題を感じないならそれでもOK。きちんとすすげば髪のpHはほとんど中性に戻っていますしね。

Y菜

でもアルカリでキューティクルが開くと髪のタンパク質が流れ出ちゃいますよ。酸性リンスで早く閉めないと。

おそら

大丈夫、キューティクルは髪が乾くにつれて自然に閉じますから。それに髪の成分はキューティクルが開いたら即、ジャーッと漏れるようなものではないから、シャンプーの間くらいなら平気ですよ。

N美

あーよかった。私、酸性リンスしょっちゅう忘れるのよね。リンスは石鹸シャンプーの基本!なんてびしっと言われたらどうしようかと(笑)

Y菜

あの、キホン的なことなんですけど。石鹸シャンプーで酸性リンスをする目的は、アルカリで開いたキューティクルを酸で中和して閉じる、そして金属石鹸を解消する、この2つですよね。

おそら

キューティクルの開閉はさっき言ったとおりそれほど気にしなくても大丈夫。でも、髪に残ったわずかな石鹸分や金属石鹸などのアルカリを酸で中和して、それを脂肪酸や酸性石鹸別ウィンドウで開きます... 一種の油のようなものに変化させて解消するというのはその通りです。

Y菜

髪に残ったわずかな石鹸分をオイルに変える... じゃあ、髪に油分も補給できますね。あ、でもトラブル頭皮にはそういう油分も残らないほうがいいんじゃないですか?

おそら

ああ、それはそうですね。頭皮にトラブルが出ていて酸性リンスがしみたり、あとでかゆくなったりしたら、しばらくは控えた方がいいでしょう。

N美

頭にキズがあると酸性リンスはしみるのよね~。でも、石鹸シャンプー用リンスも最近はいろいろ出てきて選ぶ楽しみが増えたわ。ちょっと前までは「原料:クエン酸、水」みたいなシャバシャバのがほとんどだったけど。

編集者

実は私も石鹸シャンプーなんですが、クリーミータイプのコンディショナーを愛用してます。ロングヘアなので、リンスなしだとちょっと絡んでしまうんですよね。

おそら

そうそう、そういうクリーミータイプだと、弱酸性~中性シャンプー後に使えるものもありますよ。Y菜さんのように髪の傷みと頭皮トラブル、両方が気になる人は、そういう製品を利用するのもいいかもしれません。(編註:詳しくはCheck Pointで)

N美

ドライヤー前に椿油を髪になじませるのもいいわよ。ほんの1~2滴でツヤツヤ。ブラッシングをていねいにして、自前のオイル・皮脂膜をよく髪になじませるとかね。

おそら

オイルはいいですね。そういえば、髪の輝きやなめらかさ、そして撥水性には「F層」という膜も大いに関係していることが最近の研究で分かってきたんです。キューティクルの一番表にあって、毛髪のタンパク質としっかり結合。毛髪を守ってくれる脂質の膜なんですよ。

Y菜

そのF層は、アルカリの石鹸で洗っても大丈夫なんですか?

おそら

そうですね。アルカリ溶液に長―いこと浸かったりすると取れたり、なくなったりすることがありますけど。パーマやヘアカラーとかね。

編集者

防水膜のF層が取れるほどのダメージなら、髪の内部もただでは済まなさそうですね。シャンプーにもよく気を付けなければ。

Y菜

そこで泡モコモコ原則ですよ。傷んだ髪ほど、きちんとシャンプーを泡立てて摩擦から守ってあげる!

おそら

あ、Y菜さん、分かってきましたねー。

Y菜

前から、頭皮のためには石鹸シャンプー? と思いつつ、イマイチ踏み切れなかったんです。けど、いろいろ聞いてみて、大分ハードルが低くなりました。

N美

私も、アルカリと髪についての疑問が解消されてすっきり。

Y菜

今日からでも石鹸に変えたいくらい... だけど、ダメージヘアでいきなり変えると、辛いかな?

N美

じゃあ、弱酸性シャンプーと石鹸以外のモノ、交互に使って今のシャンプーと少しずつ距離を置くようにするのはどう? ガスールみたいなクレイや、こんぶとふのりなんかを使いながら、少しずつ石鹸に近づけていくの。

Y菜

あ、ガスールなら洗顔用で持ってます! そうかー、顔が洗えるなら、頭皮も髪も洗えますよね。

おそら

私はこんぶとふのりをトリートメントとして愛用中。石鹸シャンプーの後に使うとしっとりさらさらで気持ちいいですよー。

Y菜

皆さんの髪、ホントにキレイですもんね。おそらさんもN美さんもヘアダイやパーマしてるのにダメージ目立たないし、編集者さんなんか本当にみどりの黒髪って感じ...。わー、何か楽しみになってきた。編集者さんのツヤツヤ美髪を目指して頑張るぞー!

編集者

お誉めいただきありがとうございます。これも石鹸シャンプーと出会えたおかげですね。それでは皆さん、今夜も石鹸で美髪に磨きをかけてまいりましょう!

(2009年7月初出)

チェックポイント

  • ◎「アルカリは髪に良くない」と言われるけど、正しく使えば石鹸で髪が傷むことはない。石鹸シャンプーユーザーは安心してね。
  • ◎石鹸シャンプーで髪がきしむのは、きちんと汚れが落ちているから。アルカリ性だからじゃありません。その証拠に弱酸性~中性シャンプーでも洗浄成分だけで作るとしっかりきしみます。だからシャンプーのときは十分に泡を立てて、髪を摩擦から守ってあげよう。
  • ◎ひどいダメージヘアには弱酸性~中性シャンプーもオススメできる。でも、セット販売されているリンスなどは頭皮のためには使わない方が無難。どうしても使いたいなら、毛先だけになじませるなど、頭皮にはできるだけ付けない工夫を。そして髪になじませたリンスはすぐに、徹底的に、洗い流すこと。
  • ◎石鹸シャンプー用リンス・コンディショナーの中には弱酸性~中性シャンプーのあとに使える製品もある。選ぶといいのは「オイルリンス」か、オイルと水を乳化した「乳液・クリームタイプ」。アルカリの中和は不要なので、クエン酸が原料に入っていなくてもOKです。
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