おしえて!おそらさん

紫外線対策のポイントって?

覆ってかぶって塗って着て、あらゆる手段でUVケアを

化粧品研究者 おそらさん

現職の、某化粧品メーカー研究員。豊富な知識と明快な語り口で石けん楽会に数々の名発言を残す。趣味は旅行。

Y菜さん

20代半ばOL。乾燥肌。冷え症なのが悩み。

N美さん

40代後半主婦。テニスが趣味。肌のくすみが気になる。

編集者

30代前半フリーランス。しみ、大人ニキビが悩み。

シーンに合わせた日焼け止めの選び方図

編集者

お肌のためには紫外線を全く浴びないのが一番ですが、それは無理な話。だから紫外線対策が必要になってくるんですね。

おそら

そういうことですね。一番簡単でしかも実用的なのは、やはり物理的にブロックすること。これは思った以上に有効で、ストッキングでも50%以上はカットできるんですよ。

N美

あんなに薄いのに?! びっくりね~。あとは手袋、日傘、ストール、長袖の服、帽子...

おそら

帽子はつばがぐるりとあるタイプがオススメですね。つばの長さは7センチ以上で。

Y菜

私、ショートヘアのことが多いから、首、特にうなじが焼けやすいんです。だから帽子やストールは一年中マストアイテムなんですよ。

N美

普通のキャップやサンバイザーは今ひとつね。横からの光は全然防いでくれないわ。

おそら

キャップタイプは顔の正面なら60%以上のUVをカットできるんですけどね。あと、帽子は目に入るUVも20~30%防ぐと言われています。目の保護は大切ですよ~。UVは水晶体を白く濁らせて白内障の原因になったりするので。

N美

じゃあ、外に出るときはできるだけ濃い色のサングラスかけた方がいいってこと? でもちょっと恥ずかしいわねぇ。

おそら

あ、色が濃くてもUVカットされていないと逆効果なんです。目のためには、色が薄くてUVカット加工済みの製品がベストかな。

編集者

逆効果? それは聞き捨てなりませんね。どういうことなんでしょう?

おそら

濃い色のサングラスをかけると「暗い」ですよね。すると瞳孔が大きく開きます。そして、UVカット加工をしていないレンズはUV-Aをそのまま通してしまう...

Y菜

あっそうか! サングラスのせいで瞳孔が大きく開いた分、UV-Aがたくさん目に入っちゃうんだ。うわあ、私も気を付けよう。

編集者

衣類で防ぐという件についてもう少し詳しく知りたいのですが。素材や、織り方などによって紫外線防止効果は違うんでしょうか?

おそら

そうですね... まず、黒か黒に近い濃い色の布だと約90%のUVをカットできます。濃い色は光を吸収しますから。

N美

じゃあ、白やパステルカラーはあまり効果がない?

おそら

UVカット加工してあれば、薄い色でもそれなりに効果ありますよ。それと加工済みの布でも、織りの種類によってもまた違ってきますね~。

Y菜

レース地やシースルーでお肌スケスケだったら意味ない、ってことですか?

おそら

全く意味がないとも言えないけど... 目が詰まった生地の方が紫外線を通しにくいのは確かですね。

編集者

ポリエステルやシルクはどうでしょう。紫外線を吸収する性質があるそうですが。

おそら

ポリエステルは結構効果が高いですよ。コットンとの混紡でもそれなりに効果があるから、夏はそちらがおすすめかな。シルクは... どうでしょう。ある程度は吸収すると思いますけど、過信は禁物ですね。でも濃い色で目の詰まった織り地なら、他の繊維と同じようにUVカット効果はあると思います。

編集者

なるほど~(メモメモ)

Y菜

編集者さん、何だかすごく熱心ですよね。どうしたんですか?

編集者

あ(汗)...すみません。いや実はですね、私の妹がこのたび出産しまして...

N美

あら、それはおめでたいことじゃない! すみませんなんて言わなくていいわよ。

編集者

ありがとうございます! 赤ちゃんの紫外線対策はまず衣類で覆うこと、と基礎知識にあったから、もっと詳しくお聞きしたくて...。日焼け止めは赤ちゃんには向いてなさそうだし、でもあのフワフワお肌が日焼けで炎症を起こすなんて考えただけで... か、可哀想で...(涙)

Y菜

編集者さん、早速伯母バカですね~(笑) でも分かります、赤ちゃんのお肌って、本当に柔らかで傷つきやすい感じですよね。

おそら

赤ちゃんに日焼け止めが絶対ダメということはないんですよ。ただ、赤ちゃんの皮膚は本当に薄いし、少し合わない物を塗っただけでかぶれたりする。日焼け止めを落とす作業もお肌の負担になるかもしれないし... だから、あんまり余計なものは塗らない方が安心ですよ、ということなんです。

編集者

なるほど! では、やはり長袖、帽子、お母さんの日傘... がベストということですね。

おそら

そうなりますね。それと午前10時~午後2時の紫外線ピーク時にはできるだけ外に連れ出さないこと。これはお母さんの日焼け対策でもあります。赤ちゃんを育てている時って自分のことなんか二の次になりがちですけど、妹さんのお肌も紫外線から守ってあげたいですよね。

N美

娘の時に貰った母子手帳には「日光浴をさせましょう」って書いてあったのに、時代を感じるわぁ。

編集者

えー、ところで。日焼け止めやUVケア乳液などに配合される「紫外線防止剤」には2種類あるんですよね。紫外線「吸収剤」と「散乱剤」。これらはどのように違うんでしょうか?

おそら

大まかに言うと「吸収剤」は、UVを自らの中に取り込む。そして「散乱剤」は鏡のようにUVをはね返す、という違いですね。

N美

日焼け止めとしては、どちらが優秀なのかしら。

おそら

うーん、一長一短ですね~。吸収剤を使った製品なら無色透明で白浮きしないし、塗り心地がなめらかで使い勝手が良くなります。欠点は、吸収できるUV量に限りがあること。そして、化粧品への配合にも上限があるので吸収剤だけではあまり強力なSPF値が出ない。それと、人によっては刺激になることもあるようです。

Y菜

吸収剤は取り込んだUVをどうやって処理するんですか?

おそら

そうですね... たとえば熱に変換して放出とか、吸収剤自身の分子構造を一時的に変化させるためにUVエネルギーを使ってしまうとか。

編集者

分子構造が変化ということは、別物質になるんでしょうか。そうしたら、もう紫外線を吸収できないのでは?

おそら

変わるのは一時だけで、また元の形に戻るから大丈夫ですよ。でも、そういう風に分子構造が変化し続けると、そのうち元の形に戻れなくなるとか、吸収剤そのものが壊れる、なんてことはあります。

N美

そうなるともう日焼け止めとしては役に立たない。だから定期的な塗り直しが必要なのね。汗で流れるとか、そういう理由だけじゃなくて。

おそら

そういうことですね。一方、散乱剤そのものは化学変化を起こしません。構造も壊れにくいし、お肌の刺激になりにくいです。

Y菜

私みたいな乾燥肌や敏感肌にも比較的安心ってことですね。じゃあ、結局、散乱剤をたくさん配合したほうがイイ日焼け止めになるのかな?

おそら

ところがですねー、散乱剤には「白浮き」という欠点があるんですよ。散乱剤の二酸化チタンや酸化亜鉛って真っ白だから、塗ったときの見た目を考えると、配合できる上限ってどうしても出てくるんですよね。それと、ちょっとなめらかさにも欠けますね。

Y菜

うーん、できれば刺激の少ない方が私はいいんだけど、白塗りはイヤだなー。

おそら

でしょう? だからSPF50+など高い数値の日焼け止めは吸収剤と散乱剤を組み合わせたものがほとんどです。ただ白浮きに関しては最近かなり改良が進んできてるんですよ。

Y菜

改良って、たとえば肌色を付けてお肌と馴染むようにしたり?

おそら

あ、そういう製品もありますね。あとは散乱剤の粒子を小さくするとか。50nm(ナノメートル)以下の微粒子だと通常の粒子(200~300nm)よりかなり透明感があるし、UV散乱効果も高いんですよ。

編集者

ナノテクは最先端技術なので安全性が証明されていないという話も聞きますが。

おそら

そうですね、確かにナノテクは100%安全とは言い切れていません。でも、白浮きが嫌だから日焼け止めを塗らないで紫外線を浴びる、これは相当に危いことなので...

Y菜

とにかく紫外線はしっかり防ごうってコトですね! 帽子や日傘っていう手段もあるし、結局なにを使って防ぐかは個人の判断ということですよね。

N美

ところで、日焼け止めのことをもう少し聞いてもいいかしら? 私はテニスの時にいつも使うんだけど... 量がね、未だにどのくらいがいいのか分からなくて。本当に「白ッ!」っていうくらい塗らないとダメって話も聞くんだけど、それもちょっと...ねぇ。

編集者

SPFやPAを算出するときに塗る量は、顔の面積1cm2当たり2mgだそうです。これ、相当な厚塗りらしいですけどね。

Y菜

自分の顔の表面積なんて測ったことないですよぉ。もっと具体的に、「ひと顔」何グラムとか...

N美

それは人によると思うわよ~。ウチの娘と私じゃ使用量全然違いそうだもの。あの子、夫似で超小顔なのよね。何か悔しいんだけど!

おそら

確かにそれは悔しいかも(笑) それをふまえた上であえて言うなら... クリームタイプならパール2粒くらい。リキッドタイプなら1円硬貨2個分くらいでしょうか。製品に使用量の目安が書いてあるときは、その通りの量を使ってくださいね。

Y菜

あ、それだと分かりやすいですね。じゃあ、「1日分」の紫外線を防ぐにはパール粒何個くらい?

おそら

それはちょっと答えにくいです。SPFやPAって実験室で一定の条件の元で測って算出されたものなんだけど、実際に使われるときには当然、その条件から外れる。肌タイプや生活環境、1回当たりの使用量も人によって違うし... だから「1日にこれだけ」などはなかなか言い切れないんですよ。

N美

そうか、色々難しいのねぇ。でも、たとえばSPF30と50を比べたら50のほうが強力、くらいには考えていいわよね?

おそら

その「強力」なんですけど、実はUVを遮断する力について言えば、SPF30以上はほとんど同じなんです。

N美

え、じゃあSPF30も50も一緒?

おそら

いえ、50のほうが、30より「長く」UVを防ぐよう設計されてはいます。でも、UVカット率そのものはあんまり変わらないし、汗や皮脂で流れてムラになったりすると、どのSPFでも塗り直しが必要ですよね。

編集者

日本でも、昔はSPF100などもありましたが、最近は見かけませんね。50以上は表示してもあまり意味がないからだとか...。

Y菜

結局、最後は自分の判断でということですね~。じゃあ、こういうシーンにはこの程度のSPFやPAを選びましょう、みたいな目安はどうですか?

おそら

それならあります。イラストを見ていただくと分かりますが、普通の生活ではそれほど高いSPF・PAは必要ないですね。UV防御力が高いと、それだけお肌への負担も重くなるので、必要もないのにあまり高い数値のものを常用するのも考えものなんです。(編注:詳しくは、このページの右上にあるイラストやシーン別:日焼け止めの選び方をご覧ください)

N美

わ、一番キケンなのはやっぱりスキーだわ。若い頃はよく行ったけど、スキー場ってホント日焼けするのよね。(注1)

おそら

そうなんですよねぇ。スキーは私も好きでよく行きますけど、特に春スキーは要注意。というのは、冬はUVが弱いので肌のメラニン色素量が減っていて、春先は一年中で最もお肌が白いんですね。そこへ、3月になって急増したUVが直撃すると...。

N美

言われてみれば、春になって急にシミが目立ってきたな~と思うことがこれまでも結構あったわ。

Y菜

私も、お花見のあとに急にお肌が痛がゆくなったことがあります。考えてみたらあのとき、日焼け対策を何もしてなかった~。

おそら

Y菜さんはお肌が弱いから、軽い日光皮膚炎だったのかもしれませんね。あと、春は新生活に入る人が多いでしょ? 生活が変わるとストレスが増えるので、それもシミの原因になったりしますね。

Y菜

確かに、就職したばかりの頃は大変だったなあ... 緊張の連続って感じで(笑)。メイクだって学生時代と同じというワケにはいかないし。あ、メイクといえば。ファンデーションって色が付いてますよね。だから日焼け止めになるって信じてるんですけど、これは合ってますか?

 

おそら

間違いじゃないですよ。ファンデーションは特にUV対策を謳っていなくてもある程度の日焼けを防いでくれますから。色(顔料)のせいもあるけれど、パウダーの微粒子が光を乱反射する効果が大きいと思います。

N美

じゃあ、出かける前にちょっとお粉をはたくだけでも、何もつけないよりは大分マシなのね。

編集者

そうそう、天然シルクのお粉っていうのがありますよね。シルクは紫外線を吸収するので普通のお粉よりイイって聞いたんですけど、それはどうなんでしょう?

おそら

うーん、あんまり特別視はしない方がいいんじゃないかな。でも、一般的なお粉と同じくらいにはUVカットしてくれると思いますよ。

Y菜

じゃあ、シアバターは? 天然の紫外線吸収剤が含まれているって聞いたことがあるんです。

おそら

そうですね、シアバターに含まれるケイ皮酸の化合物、これはUV-B吸収剤として日焼け止めによく配合されます。あと、ココナッツオイルにもUV-B防止効果がありますね。これだけで日焼けが防げるわけではないけど、お肌や髪のケアにも使えるから、ひとつ持っていると便利かも。(編注:詳しくは、石けん百貨の「日焼け止めQ&A別ウィンドウで開きます」をご覧ください)

N美

どちらもUV-Bだけ防ぐのね。そういえば、海外の日焼け止めってPA表示がないことが多いのよ。何か理由があるのかしら?

おそら

PAは海外では一般的ではありませんね。SPFはほぼ世界共通だと言えますが、これだけPA表示が行きわたっているのは日本くらいじゃないかな?

編集者

「白人が日焼けしているのは一種のステイタス」という考えがありますよね。それが関係しているんじゃないでしょうか? UV-Aはサンタンの紫外線ですから。

N美

不思議よね~。白人なんかメラニン色素が少ないし、紫外線の害も受けやすいはずなのに日焼けしたいなんて。

Y菜

あのね、イギリス留学した友達が言ってたんですけど... ああいう緯度の高い国って冬は4時過ぎるともう真っ暗。そんな日が続くと日光が恋しくてたまらなくなるんだって。だからみんな、春になると思いきりお日さまの光を浴びるんだとか。

おそら

そういうところは大いに関係あるかもしれませんね。だから、激しい炎症を起こすUV-Bさえ防げれば、それでOKという。

N美

なるほど~ お日様の光が当たり前に浴びられる幸せ、というのもあるわけねぇ...。

編集者

日焼け止めの表示からその国の暮らしが見えてくる... なんだか深い話ですね。ということで、今日は色々と有難うございました。これから妹のところへ行って、教わった紫外線対策を伝授してきま~す!

Y菜

編集者伯母ちゃん、がんばって... あらら、もう行っちゃった。では私が代わりに。皆さん、今日はこの辺で (^-^)ノ

(注1)雪面からの反射は80%ともいわれ、地面にもうひとつ太陽があるようなもの。海面や白い砂浜の反射率も10~25%(水面10~20%、砂浜10~25%)はあるので、このような場所にゆくときは、下からの紫外線対策や、目の保護を忘れないようにしたい。ちなみに、コンクリートやアスファルトの地面は紫外線反射率10%くらい、芝生や黒い土などは10%以下。

SPFと紫外線防御率の相関グラフ

(2009年5月初出)

チェックポイント

  • ◎日焼けを防ぐには、まず帽子や服、手袋などで物理的に日光を遮ること。特に赤ちゃんや幼児の紫外線対策はこれがキホン。
  • ◎日焼け止めは生活シーンに合わせて使い分けを。無闇に高いSPF・PAを選ぶのも考え物。
  • ◎反射光での日焼けにも要注意。特にスキー場では万全の備えを!
  • ◎春はメラニン色素がお肌から抜けているのに紫外線は急上昇。日焼けトラブルには十分に気を付けて。

シーン別:日焼け止めの選び方

日常生活(散歩や買い物) SPF10~20  PA+
屋外での軽いスポーツ・レジャーなど SPF10~30 PA++
炎天下でのレジャー・リゾート地でのマリンスポーツなど SPF30~50 PA++~+++
非常に紫外線の強い場所(スキー場・山岳地帯など)や紫外線に過敏な人など SPF50~50+ PA+++
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