男性型脱毛症

「若年性脱毛症」「壮年性脱毛症」「若ハゲ」などとも呼ばれる男性型脱毛症。実は女性でも発症することがありますから、しっかりチェックしましょう。

男性型脱毛症の特徴と
その2大要因とは?

男性型脱毛症は、その名の通り男性に多く見られます。病気やケガなどの理由がないのに、頭頂部や前頭部の髪が徐々に細く短くなり、少しずつ抜け続けるのが特徴。発症する年齢には個人差があり、早い人だと17歳からというケースもあります。

直接の原因は、ヘアサイクルの「成長期」が短くなってしまうこと。成長期が短いと、髪が充分に育たないまま抜け落ちます。すると、まだ成熟しきっていない毛根で次の髪を育てなければなりません。そのような毛髪は細くて弱いことが多く、また早々と抜けてしまいます。こうした悪循環を繰り返すうち、その毛根からは髪が生えなくなるか、生えてもうぶ毛程度ということになるのです。

これがなぜ「男性型」なのでしょう。それは、男性ホルモンの一種テストステロンがこの脱毛症の一因だからです。つまり「頭皮が脂っぽい」「ヒゲや胸毛など体毛が濃い」など、男性ホルモンの影響が強い「男らしい」体質の人が発症しやすいのですね。「男性型脱毛症は遺伝する」といわれるのは、このような「体質」が受け継がれやすいということです(注1)

ただし、テストステロンだけではそれほど髪は抜けません。テストステロンに5α-リダクターゼという酵素が係わることで、脱毛の症状が大きく進んでしまうのです。この酵素には皮脂腺で主に見られる1型と、毛乳頭に現れる2型があり、脱毛に関係するのは主に2型のほうです。

男性型脱毛がどのようにして起こるのか。それについては諸説ありますが、今のところ有力なのは以下のような考え方です。

まず、血中のテストステロンが毛乳頭の毛細血管から毛乳頭細胞に取り込まれます。そして5α-リダクターゼの影響を受けてジヒドロテストステロン(DHT)というホルモンに変化。毛乳頭細胞内には男性ホルモンのレセプター(受容体)があるのですが、DHTはそのレセプターに結合する力がテストステロンよりとても強いのです。

DHTが結合した毛乳頭は毛母細胞の分裂を妨げる物質を作り出してしまい、そのため毛母細胞はなかなか増殖できなくなります。その結果、髪も成長できないまま抜けてしまうのです。

2型の5α-リダクターゼが現れるのは、主に前頭部や頭頂部。脱毛に2型ほど強くは関与しない1型は側頭部や後頭部で見られます。

脱毛が額や頭のてっぺんから始まり、頭の横や後ろには髪が残っていることが比較的多いのは、これが理由です。この5α-リダクターゼも人によって分泌量が違い、男性ホルモンと同じく遺伝的な要素が強いといわれます。

男性型脱毛のしくみ図解

脱毛を遅らせるカギは
血行促進と生活習慣の改善

男性型脱毛症の治療法はまだ確立されていません。薬も出ていますが、副作用や価格の問題があって気軽には使えないのが現状です。ですが、血行促進マッサージ、バランスの良い食事など生活習慣の改善などによって、脱毛のスピードを遅らせることはできます。

シャンプーで頭皮の清潔を保つのも効果的です。男性ホルモンが多い人は皮脂も多いので、頭皮がベタつきがち。それを放っておくと毛穴が詰まって炎症を起こしたり、フケ症になったりして脱毛がいっそう進んでしまいます。洗いすぎはよくありませんが、適度なシャンプーを心がけるのはよいことです。

フケ症も、長引くと脱毛の原因になります(脂漏性脱毛症)。フケ症が続くと、頭皮に遊離脂肪酸過酸化脂質が増えます。それが毛穴に入り込み、毛母細胞に悪さをして成長期の毛を休止期に変えてしまうのです。最近やけにフケが出るな…と思っていたら、実は脂漏性湿疹だったということもあるので、心配なときは早めに皮膚科を受診しましょう。

更年期障害やストレスが原因で
女性でもおこる男性型脱毛症

女性でも、男性型脱毛症になることがあります。通常、女性は副腎から男性ホルモンを、卵巣から女性ホルモンを分泌してバランスを保っています。ところが、更年期になると卵巣機能が低下。女性ホルモンの分泌が減って男性ホルモンのほうが多くなってしまうことがあります。そのような人がたまたま5α-リダクターゼを多く作る体質だったら… 男性ホルモンがDHTに変化して、男性型脱毛症が進む可能性があるのです。

また、5α-リダクターゼによってDHTになるまえの男性ホルモンそのものにも、多少の脱毛作用はあります。女性ホルモンのエストロゲンは抜け毛を抑えるため(ヘアサイクルと抜け毛参照)、エストロゲンが減ること自体が脱毛を促すこともあります。また、更年期以前でも過度のダイエットやストレスのせいでホルモンバランスが乱れると、脱毛が始まることがあります。

とはいえ、一般的に女性は男性よりも禿げにくく、脱毛が進んでも頭皮が透けて見えるくらいで治まることがほとんどではあります。ただ、髪の毛は痩せてしまうので、パーマヘアカラーで傷んでいると特に切れやすくなります。そうなった場合、シャンプーやブラッシングは優しくていねいに行いましょう。

ある程度は仕方がないとは思うけれど… できれば、年を重ねても豊かな髪の持ち主でいたい。そのために、今から気をつけられることはあるのでしょうか。

注1 父方ばかりではなく、母方の遺伝も男性型脱毛に大きく影響することが最近の研究で分かってきた。DHTは毛根の男性ホルモン受容体に受け入れられて脱毛を促す。そしてその受容体の感受性を決定づけるのが、母方からの体質遺伝である。

(2010年4月初出)

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